今日のテーマは、
「退去強制など」です。
など、としているのは主な用語として出てくるものが
「退去強制」「出国命令」「退去命令」などとあるためです。
いずれもよろしくないものですが、
イメージとしては
退去強制>出国命令>退去命令
の順で重さが変わると言えます。
ニュースでよく聞く「強制送還」は「退去強制」
を指して使われることが多いですが、
マスコミ用語であることを覚えておきましょう。
まずは、「退去命令」ですが、
2020年3月現在、
新型コロナウィルス感染拡大防止措置として、
14日以内にヨーロッパの該当諸国や、
中国、韓国の一部地域などの該当地域に滞在歴がある外国人には、
入管法5条1項14号に基づき、
日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがある者として
上陸拒否を開始しております。
上陸を拒否された外国人には退去が命ぜられますが、
これが「退去命令」です。
当該外国人は速やかに国外に退去しなければなりませんが、
例えば空港の場合は航空機でそのまますぐに退去することが
困難なケースが多いので、一定の手続きを経て、
上陸許可を受けず近隣ホテル等の施設に一時的に滞在することが許されます。
しかし、許可なく施設外に出たり、
定められた期間を超えて施設にとどまり続けると
退去命令違反として退去強制事由に該当することになります。
なお、退去命令により出国した場合でもそれ自体は上陸拒否事由には
該当しないため、それをもって次回入国を拒否されることにはなりません。
続いて、「出国命令」です。
不法残留のうち,以下の全ての要件に適合する場合に,
身柄を収容されることなく,簡易な手続により出国する制度です。
出国命令制度の要件
・ 日本から出国する意思をもって「自ら」地方出入国在留管理局に出頭したこと
・ 不法残留以外の退去強制事由に当たっていないこと
・ 日本で窃盗などの一定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと
・ 過去に退去強制されたことがないこと
・ 出国命令を受けて出国したことがないこと
・ 速やかに日本から出国することが確実と見込まれること
なお、出国命令制度により出国した場合,原則として1年間,
日本に入国することができません。
最後に「退去強制」です。
主な退去強制理由は
・ 在留期間を過ぎて日本に留まること(1日でも過ぎると不法残留となる)
・ 資格外活動許可を受けず,資格以外の活動で収入を得ること(不法就労)
・ 一定の刑事罰を受けた場合
です。
上記などにより退去強制手続きが取られた場合は、
原則として、身柄を拘束され、強制的に出国させられることになります。
「強制送還」と呼ばれる所以です。
しかし、退去強制手続が執られても,
仮放免申請により、一時的に釈放されたり、
日本での生活歴、家族状況などが考慮され、
法務大臣から在留を特別に許可される場合があり、
これを「在留特別許可」と言います。
退去強制により出国すると、原則として5年又は10年間,日本に入国することができなくなります。
また,一定の刑事罰に処せられるなどして退去強制された場合には,
もう日本に入国することができなくなったりもします。
以上、このようなケースにならないことに越したことはありませんが、
この機会に整理しておきましょう。
それでは、
本日も、最後までお読み頂きましてありがとうございましたm(_ _)m