今日のテーマは、
「経営管理の事業所における基準」についてです。
平成27年に法務省が公表している情報を基にお伝えしていきます。
在留資格「経営・管理」の適合性については、
いわゆる基準省令に記載されているわけですが、
そこには
「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」
又は
「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」
とする基準が定められています。
また、総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項において,
事業所については次のように定義されています。
○経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち
一区画を占めて行われていること。
○財貨及びサービスの生産又は提供が,人及び設備を有して,
継続的に行われていること。
このことから以上の二点を満たしている場合には,
基準省令に適合しているものと認められています。
しかしながら、ベンチャー企業などは、
設立当初は規模が小さいことや少人数での事業運営が可能であること等から,
住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合等がありますので、
そこをどう審査されるかがポイントになります。
それではもう少し詳しく見ていきましょう。
経営管理する法人の
「事業所の確保(存在)」については、
月単位の短期間賃貸スペース等(レンタルルームなど)を利用したり,
容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には,
基準省令の要件に適合しているとは認められません。
また、賃貸物件においては、賃貸借契約においてその使用目的を
事業用,店舗,事務所等事業目的であることを明らかにし,
賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし,
当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。
ただし,住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合には,
住居目的以外での使用を貸主が認めていて、
当該法人が事業所として使用することを認めていること。
及び,当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していることや,
当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること、
看板類似の社会的標識を掲げていることを必要とします。
「事業所の確保(存在)」についての事例を見ていきましょう。
許可事例
Cは,本邦において株式会社を設立し,
販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,
会社事務所と住居部分の入り口は別となっており,事務所入り口には,
会社名を表す標識が設置されていた。
また,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が
設置されるなど事業が営まれていることが確認され,
事業所が確保されていると認められた。
不許可事例
Eは,本邦において会社を設立し,
総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,
提出された資料から事業所が住居であると思われ,
調査したところ,2階建てアパートで郵便受け,玄関には社名を表す標識等はなかった。
また,居宅内も事務機器等は設置されておらず,
家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから,
事業所が確保されているとは認められなかった。
つづいて、
「事業の継続性」については、
赤字決算等が疑問を生ぜしめる場合があり得る反面,
通常の企業活動の中でも,諸般の事情により赤字決算となっていても,
在留活動の継続性に支障はない場合も想定されますので、
そこをどう審査されるかがポイントになります。
原則、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから,
直近二期の決算状況により審査されます。
例えば、直近期末において債務超過であるが,
その前期末では債務超過となっていない場合では、
事業計画,資金調達等の状況により,将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し,
今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし,
事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて,
原則として事業の継続性があると認められます。
一方で、債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは,
事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから,
事業の継続性があるとは認められません。
いかがでしたでしょうか?
特に事業の継続性については、
技人国外国人を受け入れる受入れ機関にも
求められる基準にもなり得ますのでこの機会に整理しておきましょう。
それでは、
本日も、最後までお読み頂きましてありがとうございましたm(_ _)m